うちのおばあちゃん。
「おい嫁よ。あの世に三途の川があり、船で渡るので船賃がいると聞いた。わしにはお金が無いから三途の川を泳いで渡る。」と言って、その日から水泳教室に通ったそうだ。
1ヶ月で1m、月日を重ねる内に泳ぐ距離が伸びて、50mまで泳げるようになった。
それを見たお嫁さんが指導員に「うちのおばあちゃんにはターンを教えないでください」と頼んだそうだ。あの世に行ってダーンして帰ってきては困るから。
毎日決まった時間に起きてくるおばあちゃん。
今日朝から姿が見えないので部屋に行ったら、「おい嫁よ、いままでありがとう」と言って笑いながら天国へ旅立ったそうだ。
108歳まで生きたおばあちゃん。
気が強いためか、ありがとうの言葉を心の中には絶えずあったが、自身の口からは出なかった。
最後言った「ありがとう」
おそらく気持ちが楽になって、三途の川を泳いで渡ったであろう。
石田 伴二
お金がありすぎても苦労
無いのも困る
中途半端にあるのがちょうどいい
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